情報処理安全確保支援士の資格取得を検討されている方、社内SEで年収アップに効果的な資格を探されている方におススメの記事です!
結論:社内SEは、安全確保支援士の資格でITスペシャリストへの選択肢を広げよう
結論からお伝えすると、情報セキュリティの難関資格である「情報処理安全確保支援士」に合格しただけでは、残念ながら年収は大きく上がりません。
企業によっては、資格手当で月数万円アップする可能性はありますが、ベンダーやSIer以外ではレアケースでしょう。
ただし社内SEが安全確保支援士の資格を取得することで、セキュリティのスペシャリスト(専門職)へのキャリアに繋げられる可能性があります。
ITスペシャリストはハイクラス求人でも取り扱われることもあり、高年収が期待できます。
安全確保支援士に合格したからと言って、すぐ年収には反映されないけど、長い目で見ると高年収の可能性が高い、ということですね。
なぜ数あるIT系の資格の中でも、情報処理安全確保支援士がおすすめなのか?
安全確保支援士試験に合格済みの私から、その理由を説明します。
それでは見ていきましょう!
情報処理安全確保支援士の年収は?dodaを使って試算してみた
安全確保支援士の資格を持っている人は、おおよそどれくらいの年収をもらっているのでしょうか。
公式なデータは見つけられなかったため、私が今回調査に使用させていただいたのは、転職サイト「doda」です。
やはり圧倒的な求人数だけではなく、幅広い条件の求人をあつかっていること、そして何より検索時に細かい条件を指定できるので、検索もしやすいです。
dodaにて、以下の条件で検索してみました。
- 「職種:社内SE全般」
- 「情報処理安全確保支援士のキーワードを含む」
検索数は120件となり、ほとんどの求人で「歓迎条件として」情報処理安全確保支援士の資格を掲載しています。
それら120件の求人で記載されていた「予定年収」の平均を計算してみました。その結果は、
「およそ723万円」となりました。
予定年収で最も低い金額は「305万」、一方で最も高い金額は「1,800万」でした。
723万円という数字は平均値であり、最高年収と最低年収の差が1,500万もあることから、あくまでも参考にする程度ですが、ひとつの目安にはなると思います。
当然ですが、資格試験に合格しているだけで、年収が提示されているわけではなく、求人の必須要件には「実務経験」が記載されていますので、要件を満たす経験やスキルがあることが前提です。
なぜ安全確保支援士なのか?他の専門職との違い
そもそもITスペシャリストとは
社内SEが年収を上げていくためには、キャリアパスとして大きく2つの道があり、「管理職」か「専門職」に分かれます。
ITエンジニアにおける専門職は、いわゆる「ITスペシャリスト」と言ってよいでしょう。
後述しますが、安全確保支援士試験に合格した方は、このITスペシャリストに該当することになります。
具体的なITスペシャリストの定義は、「ITスキル標準(ITSS)によって定められた、専門分野のいずれかでレベル3以上と認定されたエンジニア」を指します。
ITSSとは「IT Skill Standard」の略称で、経済産業省が定めた、ITスキルを評価するための指標です。
ITスペシャリストの専門分野には、「プラットフォーム」「ネットワーク」「データベース」「アプリケーション共通基盤」「システム管理」「セキュリティ」の6つがあります。
そしてITSSにおける「レベル」は、全部で7段階に区分されています。ここでは全て紹介することは割愛し、レベル3前後の定義を紹介します。
レベル4
プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、自らのスキルを活用することによって、独力で業務上の課題の発見と解決をリードするレベル。社内において、プロフェッショナルとして求められる経験の知識化とその応用(後進育成)に貢献しており、ハイレベルのプレーヤとして認められます。スキル開発においても自らのスキルの研鑽を継続することが求められます。
レベル3
要求された作業を全て独力で遂行します。スキルの専門分野確立を目指し、プロフェッショナルとなるために必要な応用的知識・技能を有します。スキル開発においても自らのスキルの研鑽を継続することが求められます。
レベル2
上位者の指導の下に、要求された作業を担当します。プロフェッショナルとなるために必要な基本的知識・技能を有する。スキル開発においては、自らのキャリアパス実現に向けて積極的なスキルの研鑽が求められます。
IPA公式サイトより引用
つまり、ITSSにおける「レベル3以上の技能をもつITスペシャリスト」の定義は平たく言うと、
「アプリケーション・ネットワーク・データベース・セキュリティにおいて、独力で実行可能な高いスキルをもち、後進の指導も行うエンジニア」ということになります。
あくまで私の要約ですが、後進の指導を行うということは、その技術をしっかり理解していることが前提と言えますね。
情報処理安全確保支援士とはどんな資格?
安全確保支援士の位置付けは「スキルレベル4のセキュリティ・スペシャリスト」
情報処理安全確保支援士は、ITSSにおける、「専門分野:セキュリティ」における、「スキルレベルが4」に認定される資格です。
そもそも試験で認定されるレベルは4までで、5以上に該当する試験は今のところありません。
そのため、レベル4の資格試験が、情報処理技術者試験の中では最も難易度が高いことになります。
つまり、スキルレベル4の「情報処理安全確保支援士」試験に合格することで、「セキュリティのスペシャリスト」として認定されるということです。
合格率はおよそ20%だが、比較的チャレンジしやすい
安全確保支援士の合格率ですが、近年では19%〜21%となっており、20%前後で推移しています。
同じレベル4の試験である「ITストラテジスト」や「システム監査技術者」の合格率は、10%前半なので、比較的合格率は高いことになります。
また、他のレベル4の試験が年に一度のみの実施であるのに対し、安全確保支援士試験は、4月と10月に2回実施されます。
年に一度ですと、もし落ちたときに次の試験までモチベーション保つのが大変です。
午後の試験形式は記述式で、実務経験が重宝される
情報処理技術者試験は午前と午後に分かれて実施されますが、レベル4の試験は午後に「論文形式」で行われるものが多いです。
安全確保支援士の午後試験は、論文形式ではなく、記述式になっています。
記述式を具体的にお伝えすると、「セキュリティ上の問題が社内で発生した。再発防止のためにはどのような対策が必要か。発生したとして被害を最小限にするためには何が必要か。」というような問題が出てきます。
社内SEとして業務を行っていれば、セキュリティ上のトラブルが発生したこともあるでしょう。
つまり、業務上の経験が、試験にそのまま活かせるということです。
私が受験した際も、午後試験は実務経験を活かす事ができました。ただ、試験対策は必要です!
安全確保支援士の午後試験の構成変更(午後1・午後2⇒統合されて1つの試験のみ)
午後試験が統一され、これまで午後1と午後2に分かれていたのが、2023年秋期試験から、午後試験としてまとめられることになりました。
その結果、午後試験だけで、3時間半かかっていたのが、一つにまとめられて2時間半に短縮されます。
難易度は正直なんとも言えず、今後の合格率の推移を見守る必要がありますが、少なくとも試験の負担は下がり、受験へのハードルも下がると思われます。
これまでは途中退出せずに受験した場合は、16時30分まで試験室に居続けることになっていましたが、1時間30分も早く帰宅できるのは気が楽ですね。
安全確保支援士試験合格と合わせて行うべき対策とは?
セキュリティに関する実務経験をコツコツ積み上げよう
繰り返しになりますが、情報処理安全確保支援士の資格は、合格するだけで即、高収入が約束されるほどの資格ではありません。
資格合格を活かすためには、必ずセキュリティに関する実務経験が必要です。
社内SEであれば、自社における何らかの「セキュリティに関する実務」に触れる機会はあると思います。例えば以下のような実務が挙げられます。
- 社員へのセキュリティ教育の実施
- アラートの監視
- EDRやWAFなどのセキュリティ製品の導入やリプレース
- セキュリティ・インシデントの対応
このような実務経験があり、かつ安全確保支援士の資格を持っていれば、企業によっては十分に興味を持たれることにつながると思います。
ポイントとしては、「自分が主導していること」と「複数部門・従業員を巻き込んで全社展開したこと」が強調できれば、アピールポイントになると思います。
実際の業務でもそのような経験が積めるよう、意識して取り組みましょう。
安全確保支援士を歓迎条件とする企業に興味を持たれるようにしよう
安全確保支援士の試験に合格したとしても、経験と合わせて、少しでも高く評価してくれる企業に興味を持ってもらったほうが、年収アップのためには効率的です。
資格は、持っていると転職において有利になる場合が多い要素の一つです。
例えば、高年収の求人が多く集まる転職サイト「ビズリーチ」に登録しておくのがおすすめです。
ビズリーチ公式サイトにおいても、以下の通り資格でアピールできるポイントを説明しています。
「ビズリーチ」でも、職務経歴書で資格をアピールできている方は、アピールしていない方に比べて、転職成功率が高い傾向にあります。
資格のなかには、TOEICや英検などの英語に関する資格、情報処理技術者など、能力・知識の証明となる資格があります。
これらの資格は「法律などの観点で必須」とはならないものの、求人によっては採用要件で「特定の資格を持っていること、もしくは同程度の能力・知識を持っていること」などのように記載されることもあります。
このような場合も含め、資格は自身の能力・知識の証明となるため、選考で有利になったり、応募できる求人の増加につながったりします。
ビズリーチ公式サイトより引用
事実、ビズリーチで「情報処理安全確保支援士」を条件に求人を検索すると、年収800〜1100万程度の求人が多く出てきます。
必須要件ではないものの、歓迎条件などで記載されている資格を取得できているということは、
そのまま企業の採用担当者からもビズリーチ上で検索されやすくなります。
結果的に、転職成功率は上がることになるでしょう。
ビズリーチで資格をアピールするには、会員登録がまずは必要です。
会員登録は全部で20弱の質問に答えるだけで完了し、所要時間は15分程度です。
会員登録はビズリーチ公式サイトから進めておきましょう。
まとめ
最後にまとめです。
- 社内SEは、安全確保支援士の資格でITスペシャリストへの選択肢を広げよう
- 安全確保支援士を歓迎条件とする求人の平均年収は732万円
- 安全確保支援士の位置付けは「スキルレベル4のセキュリティ・スペシャリスト」
- 浅く広く、セキュリティの実務経験をコツコツ積もう